展示作品のご紹介1「花への憧れ」
- ROUME 上木原

- 2022年11月18日
- 読了時間: 3分
こんにちは!
今日から、23日から開催する「Joy, Carpets!3~ストーリー~」に展示するペルシャ絨毯を少しだけご紹介していきたいと思います。
はじめの「ストーリー」は、「花への憧れ」。

この絨毯は、カシャーンのシルクの絨毯。アンティーク(100年以上前に作られたもの)とまではいきませんが、1960年前後に作られたと思われる古い絨毯です。
今回のDMなどにも使っている、とびきりのお気に入りの絨毯なのですが、ここではデザインのお話になります。
ペルシャ絨毯というと、真ん中に大きな丸があり、その上下に小さな丸やひし形があって、それらのまわりをぐるぐるとつる草がとりまいて……という、いわゆるメダリオンデザインが良く知られていますが、こういうデザインの絨毯もまた古い歴史のある伝統的なペルシャ絨毯のデザインです。
中央に花瓶があって、そこにたくさんの花々がいけられています。
その花からさらに茎やつるが伸びて、先でまた爛漫の花になり、そこに鳥が集う。
花の種類も色もとりどりで、生命力にあふれた、けれどエレガントなデザイン。
「Vase &Flower」、つまり「花瓶と花束」というデザインになります。
ちなみにペルシャ語では「ゴルダニ」といいます。

シルクなのでつやつやですが、できたてのびっかびかな光り方ではなく、糸のうちがほんのり灯っているような、やわらかな光り方をします。このあたりは長い時間をかけて育つもので、若い絨毯にはないものです。年の功? どちらかというと年代物のワインのイメージですね。
ほんのりとしたアイボリーの地に大輪の花が咲いています。

こちらは花瓶が変形していますが同じく花瓶と花束のデザインです。サルークというイラン西部の町のウールの絨毯で、毛先がぽわぽわしている可愛らしい手触りがします。

こちらも制作は1970年代前後と思われます。
ピンクに赤に朱色、大きさも形もさまざまで、色の使い分けにもこだわりを感じます。
枝や茎も一色ではなく、多色で織ってニュアンスを出しています。かわいい。
ダマスクローズやサフラン、ピスタチオやザクロなど、たくさんの花や果物で有名なイランですが、実は国土の大半は乾燥地帯にあり、全体的に植物の成長にはなかなか厳しいお国柄です。
そのような土地だからこそなのか、ペルシャ絨毯のデザインには多くの植物が織り込まれていて、植物、特に木や花、果物への強い想いを感じることが多々あります。
「花が好きなんだなぁ~」とのんきに思っていたのですが、今でも干ばつにあっているという話を聞くと、単に好きという言葉では片づけられない、深い深い憧れがこもっているようにも思います。
この花瓶と花束のデザインもそう。
日本では気軽に草花を摘んでかざれますが、イランでは近所で花をつんだり手に入れたりできないので、そのかわり、絨毯に織り込んで飾ったのでしょう。本物の花への憧れを込めて、毛糸で枯れない花を織る。それは、極東の緑の多い国に育った私たちにはとらえがたい、だからこそ心惹かれるものなのだろうなあと思います。
今回、これらのような「花瓶と花束」デザインのものをいくつか集めています。
壁に咲く、大輪の花束をぜひご覧ください。



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