First Capet
- ROUME 上木原

- 2022年11月11日
- 読了時間: 3分
絨毯を売ったり絨毯について書いたりしている私ですが、「どんな絨毯が好きなんですか」とよく聞かれます。
知れば知るほど「好きな絨毯」が増えていくので、この質問に答えるのはとても難しく、
「えっと、遊牧民の絨毯も好きですし都市の工房で作った絨毯も好きです、ビレッジの絨毯(田舎で作られた絨毯)も好きです~」
と、どこかの引っ越し屋さんのCMみたいな答えになってしまうのですが、「一番初めに好きになった絨毯は何ですか」という質問には答えられます。
バルーチです。

ほんとにバルーチは色がうまく出ないな!(暴言)
実物はもっときれいです!
これは、私がペルシャ絨毯に関わるようになった、本当に初めの一枚でして。
とある絨毯のお店のショーウィンドーの前でこの絨毯を見かけて、なんというかこう、魂奪われた感じになってしまったんですよね。
そのお店の明かりが消えていたこともあってじいいいいっと見てたんです。
たぶんちょっと不審者っぽかったと思います。
そしたら、たまたまそのお店のオーナーさんが店の中にいらっしゃって(営業してなかったので電気を消していたらしい)、
「まぁお茶でも飲んでいって」
と誘われまして。
ちょうどトルコ旅行から帰ってきたばかりで、そういうお誘いが身近だったこともあり、コーヒーをごちそうになったのです。この絨毯を見ながら。
(すごい赤だなあ、すいこまれそうだなあ)
当時かろうじて10代だった若造は、これがきっかけでこのお店でアルバイトをすることとなり。
そして絨毯を好きになり、大学・大学院を経てこのお店で働くようになり、絨毯と深くかかわりあって生きていくことになりました。
そのお店から独立するときに、ファーストピースだから、とこの絨毯を頂きました。
それからずうっと一緒にいます。
その当時の時点で、もう作られて3,40年はゆうに経っていたこの絨毯は、私と一緒に20数年を過ごして踏まれ続け(笑)、今は私の仕事机の前の壁でのんびりしています。
パイルもまだ残ってはいるのですが、ところどころ薄くなってきたので、「長生きしてね~」と壁にかけました。今でもとっても美人さんです。

この深い深い赤と、やわらかいアイボリーの組み合わせがとてもやさしい。
バルーチ特有の武骨なボーダーのデザインと、まんまるなロゼッタ(お花モチーフ)のコントラストがとてもハイセンス。バルーチとしてパーフェクト!
写真にはありませんが、中央のモチーフはボテ(唐草文様)です。上の方はやる気をなくしたのか糸がなくなったのか、すっかすかになっていて、それもあたたかくて愛しいです。
毎日この絨毯を見ながら絨毯の仕事をしつつ、「君が私の人生のターニングポイントだったねえ」と楽しんでいます。



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